“入院しない”“喘息って言わないで”



涙を溢れさせながら、そういう季蛍の体を抱き上げてベッドに下ろす。



「…季蛍」


名前を呼んだだけでも『やだッ』と手を震わす。



……どうした?




──コンコン



ドアがノックされたと思ったら、


『話終わったー?』



と蒼先生が入ってきた。



「蒼先生…」



「…え?」



「喘息の発作起きちゃって。もう落ち着いてますけど」



「…昨日季蛍薬飲んでたもんな。喘息のことは黙ってたらダメだよ」



溢れ出す涙をそっと拭って、蒼先生はふんわり抱きしめる。



「わかったから泣くな。入院だなんて誰も言わない」