……とその時。
──コンコン
とドアがノックされて、ゆっくりドアが開く。
「今大丈夫?昨日のことだけど…」
顔を覗かせたのは一番会いたくなかった高島先生。
……いや、この状況では会いたいべきなんだけど。
「季蛍」
「高島先生、喘息…」
看護士がそう言うと、高島先生は手に持っていた何枚もの紙をデスクに置いた。
「喘息の発作か…。吸入はどこ?」
何も答えずにいると、診察室には『ヒュー…ヒュー』とした呼吸音だけが響く。
高島先生が診察室の奥へ行ってから、余計に肩の上げ下げが激しくなったのがわかる。
「せん…」
言葉も言い終わらないまま、苦しさのあまりベッドに上半身を預けた。


