俺も季蛍より少し遅れて寝室を出ると、リビングのテーブルで小さな器を見つめる季蛍がいて。


目が合うと、気まずそうに目線を逸らした。



そんな季蛍の向かい側に座って、途中だったカルテに目を通すんだけど。



視界に入る季蛍の手は一切進んでいないから。




……“喘息じゃない”を突き通す気なのか


「…ねぇ季蛍。発作出てるなら高島には伝えて?喘息で入院したときも約束しただろ」



「…喘息じゃない」



「放っておいたらどうなるかは季蛍自身が一番わかってることだろ?」



カバンの中に入れられていたいくつかの薬をテーブルに並べると、季蛍の顔が曇った。



「…また入院、したいのか?」



「…ッ…したくない!!」