それから10分がたっても出てくることがないので、いい加減…と寝室のドアを開ける。



「季蛍?」



パチンと電気をつけると、ベッドの上では胸元に手を当てて座る季蛍がいて。


おまけにカバンからこぼれる薬とペットボトルが散乱していた。



「…あ、何でもない」



薬をかき集めてまたカバンにしまう季蛍は、なんだか呼吸がしづらそう。



「喘息?」



「……」



「帰ってきてからずっとベッドにいたの?」




「……」




「…季蛍」


ため息ひとつして、俺もベッドに腰をかける。



「喘息じゃない…」



やっと口を開いたと思えば…。



「そう。……だったら夕飯食べて寝たら?食事とらないと高島に怒られるだろ」



「…ん。わかった」



寝室を出て行く季蛍を見て、またため息をつく。



カバンを覗けば喘息の薬がいくつか。



「…喘息だろ」