「早食いどころか季蛍はなんにも食べないからな。…今どこいんだろ」



「蒼、口開くといつも季蛍さん季蛍さん」



「…そんなことないし」



「そんなことある。…よな?」



話を振られて戸惑い気味に


「あぁ…はい」


と頷く高島。



「……。」



「大体蒼甘いんだよ~…季蛍さんに」



「…そう?そんなことないけど」




「俺なら蒼みたいにできない。…愛香のことなんて放置だもん」



「放置って…」



「いや、だから…風邪引いても自分で薬飲んでって言っちゃう。俺が酷いのか?」



ご飯を流し込むように食べる奏太は、少し首を傾げた。


「病院までついてこないもん」



「…でもそれは季蛍の体のことがあるじゃないですか?」



水を注いでから、高島が顔を上げて言った。



「…季蛍、自分じゃ黙ってますから。愛香さんみたいに簡単に風邪も治らないって言うか…」



奏太はまた首を傾げて、水を流し込む。



「体弱いって言うのも言い過ぎですけど…あんまり強くないから」



奏太は少し考えた顔をしてから


「そっか」



と頷いた。



「蒼先生はそうじゃなくても季蛍に甘いですけどね、いろんな意味で」



「どういう意味だよ」



「いえ、別に」