「おはよ」


ワイシャツのボタンを留めていると、ようやく季蛍が目を覚ました。


「んー……はよ…」



「行かないでって言ったくせに寝ちゃうんだもん。カルテの途中なのに」



「………はッ!!カルテ…」



「俺の服握って行かないでって言ったくせに目閉じちゃう。…意地悪してって言ってるみたい」


そう言って笑ってやると、『バカ!』と顔を真っ赤にして枕を投げてくる。


「ほんと意地悪!!も、知らない!!」



「…んはは、早く支度しろよ」



まだ顔の赤い季蛍を背に寝室を出た。