「…季蛍明日蒼先生と病院おいでよ。薬も出してあげるから」
「いいです、蒼から貰うから…」
「市販の薬より病院の薬の方が治りいいよ?絶対。…早く仕事出たいんだろ?」
「…そうですけど」
ボタンを留めてくれて、高島先生はその手で頭を撫でた。
「…口開けて。喉見せて」
ほんの少し口を開けたけど、高島先生は苦笑いをして。
「何事にも控えめだな、季蛍は」
手が喉の扁桃腺に触れて、少し痛んで声が漏れた。
「…痛い?…ちょっと腫れてる」
「大丈…夫」
「…もう。我慢強いっていうのか…なんて言うのか」
高島先生は聴診器をしまうと、今度は手首を握って腕時計を見つめた。
「……脈も正常だし、まぁ…熱が下がれば言うことないね」
鞄を持って立ち上がった高島先生は、
「明日待ってるよ、病院で」
と笑った。
「…嫌です。行きませんから」
「頑固だなぁ」
「……私もリビング行きたいです」
「寝てなきゃダメだよ」
「……ご飯食べる為に」
「ここで食べれば?」
「……嫌です!」
「……蒼先生に聞いてみる?」
頷くと高島先生は寝室のドアを開けて。
「蒼先生…、季蛍がリビング来たいって言ってますけど」
「えー?……そんなこと言われても」
「ご飯食べる為って言ってます」
「本当?…ご飯食べるならいいよ」
「…季蛍、いいって。……ほんと嬉しそうな顔するな」


