──ガラガラ



「おはよーう、もう起床時間過ぎてるよ」



病室に入ると未だ布団の中に潜り込んでいる季蛍がいる。


「…体調どう?点滴ずっと入ってたけど」



点滴を確認しつつベッドの横に腰を下ろす。




「おーい、顔見せて。外来行っちゃうと季蛍のとこ来れなくなっちゃうよ」



「………」




「今だけなんだから」



そう言うとひょこりと片手が布団の中から出てきた。



「おはよ。顔色見に来た」



布団を少し引っ張ると、まだ具合の悪そうな季蛍の顔色。



額に手を触れてみても、やっぱり変わらないまま熱い。



「高熱あると頭も痛いだろ?後で熱測りに来る看護士さんに体冷やしてもらえるように伝えておくね」



頷きを見て少し安心。


「朝ご飯も食べられるなら食べといて。今夜は蒼先生来れるかもね」



ポンと頭に手を置いて、立ち上がって扉へ向かう。



「朝のうちはまだ寝ててもいいよ」



蒼先生が来れるかもというのを聞いて嬉しくなったのか、少し笑っているような気もした。