──カチャ


「奏太…?」


小さな愛香の声が聞こえたと思ったら、寝室に光が射し込んだ。



「大丈夫…?」



体を起こして光の方に目をやると、お盆を両手に愛香の心配そうな視線が。



「あぁ…」



もうすぐ夏を迎えるとはいえ、今になって風邪の流行の波が来たみたいだ。



小児科の診察室にいることの多かった俺は、どうやら子供から風邪をもらってしまったらしい。



「ッゲホゲホ…ゲホ」



「お粥作ったんだけど…」




愛香の持つお盆の上には、美味しそうな卵粥が湯気をたてていた。