部屋を出て出口に向かうと、数人の看護師とすれ違った。


季蛍は身を隠すように俺の後ろにいたけど。


「高島先生お疲れさまです」



「お疲れ。


……何で隠れてんの?」



「…だって昼間から帰るなんてズルいから」



「んふふ、しょーがない。主治医に決められたことを破るわけにはいかないだろ」



自動ドアが開いて、季蛍はやっと俺の前に出た。



「…ありがとうございました」



「おう、ちゃんとまっすぐ帰れよ。蒼先生には伝えておくからね」 



「明日はちゃんと来ます。……多分」



「自信ないじゃんか」



「だって…」



「大丈夫、眠ってれば微熱なんて下がるから」




「はい…」



「じゃあね」



「お疲れ様です…」