──「おーはよ、12時半だよ」


肩をトントン叩いて起こすと、機嫌の悪そうな表情を浮かべる。


「点滴外したよ。まだ微熱があるから今日はそのまま帰りな」


「えっ」



とび起きた季蛍は自分の手で額に手を振れた。


「だ、大丈夫…です…」



「主治医にダメって言われてるんだから」




「…絶対に出られると思ってた」



「タクシーでも拾って家で眠った方がいい」


「…」



「その後具合が悪くなるようなら俺も薬の処方考えるから。ただね…微熱に薬使ってると自分で治せなくなるでしょ」



「はい……」



「だから今は自分の回復力を信じて眠ること」


肩をトンと叩いて立ち上がる。


「荷物持って。出口まで送ってやる」