翌朝、朝ご飯の支度をしているところに愛優が起きてきた。


「愛優時間大丈夫?」



そう聞いてみるけど、愛優は元気のなさそうな表情を浮かべて


「今日……学校休んじゃだめ?」



と口を開いた。



「…具合悪い?」


「昨日…から…悪い…かも」



そう言う愛優の額に手を触れるけど、熱がある訳ではない。



年は成長しても、何だかんだ愛優って小さい時から変わらない。



「気分が悪い?」



朝のトーストをお皿に移しながら聞いてみるけど、愛優の返事はない。



「私だって愛優が楽になるようにしてから仕事に行きたいしね」


「………」



「仕事出ちゃったら夜まで愛優1人でしょ?だから」



「ん…そういうの………大丈夫」



「学校休むにしても…蒼に疑われちゃうよ。具体的に話してくれないと」



パジャマの裾を握って突っ立っている愛優は、何か浮かない顔をする。



「でも元気なさそうだから…学校に電話入れとくね。今日は家で寝てな」



「うん…」


そう言って部屋に戻ろうとした愛優だったけど、ちょうどその時支度を済ませた蒼がリビングへ。


「あッ」



「愛優おはよ」



「…はよ」


そそくさ部屋へ向かう愛優を蒼は何か言いたげに見つめていた。



「…愛優学校は?」


「ん、今日お休みするって」



「どうして?」



「なんか体調良くないみたい。元気ない顔してるし」



「…本当に具合悪いのか?」



「蒼しつこい、仮病だって疑ったら可哀想でしょ」


朝ご飯をテーブルに並べて、気難しい顔をする蒼をちょっと睨む。


「だから、俺は学校を休むことに反対してるんじゃなくて…体調を誤魔化してる所に疑問なの」



「だって本人が具合悪いって言ってるんだから」


「でも愛優に病院行くかって聞いたら断固拒否だぞ」



「それはいつものことでしょ」



「…じゃあ本当に体調が悪いのか?」



「うん…」