「肺炎は完全に治ってからじゃないとね。微妙なところで退院許可は出ないからね~」



「…いつ治りますか?」



「んー…あと数日間は無理だなぁ」




「も…仕事復帰したいです」




「だーめ」




「…肺炎になんてなるんじゃなかった」




「なっちゃったことはしょーがない」




ベッドサイドに椅子を寄せて腰をかけて、泣きそうな季蛍の頭を撫でてやる。



「言っただろ?『治してやるから』って。最後まできちんと治すのが俺の役目」



「……」




「中途半端な判断したら蒼先生に怒られちゃうからね」



「……」



『蒼先生』の名前を聞いて、余計に泣きそうな顔になる。



「んふふ、寂しい?蒼先生来ないからね」



「忙し……ってわかってる…けど」




「蒼先生ねぇ…毎朝季蛍のこと心配してるから。仕事忙しくても、患者さんのこと考えてても…どこかで季蛍のことはちゃんと心配してる」



「……」




「ま、元気出せ。心が元気ないと体も元気出ないよ」



「…はい」