聴診器を手で温めてから、恥ずかしがってそっぽを向く季蛍の胸にそっと当てる。



「………」



「音は大丈夫。点滴が効いてるかな、どう?具合」



「…少し息苦しい…です…けど大丈夫…」



「そう、あんまり苦しいようなら呼んで」



そう言って見つめると、耳を赤くして俯いてしまった。



「さ、お粥食べて少し寝る?」



立ち上がって湯気をたてる器を持ってくる。


「お粥…ぃ…らない」



「少しでいいから。お腹に何か入れないと」



「だって…無理しなくていいって…」




「あぁ、それは言ったけど」



季蛍の目の前に器を置く。



「あそこに置いてある資料、整理してくるからその間食べて」



指を指した先には、積み上がる資料の束。



「季蛍退院したら大変そうだな~」



なんて言いながら、積み上げてある資料を下ろした。