「…ッケホケホッ」



「抗生物質入れとこうな、落ち着くまで」



高島先生が腕を脱脂綿で消毒するから、ひんやりして少し気持ちよかった。



「点滴、抜けたり何なりしたら呼んで」



息苦しさに目を伏せながら頷くと、高島先生は苦笑い。



「苦しいな」



もう一度頷くと、『でも抗生剤入ってればすぐ良くなるよ』と声が聞こえた。



「脱水してるから血管…浮き出ない。失敗したらごめん」



苦笑いをされて、思わず首を振ってしまう。



「痛…ぃ?」


「失敗したら痛いかも。だからそんな力入れないで」



「……はい」



返事をすると同時に腕にチクリと小さな痛みが走った。



「入…りました?」


「完璧。良かったな、上手い俺に刺してもらえて」



『ハハハ』と笑う高島先生だけど、本当にそう思う。