「あ、今日高島当直?」



電話越しに蒼先生は申し訳なさそうに呟いた。



「はい、当直です。今医局に」



「ごめん、忙しい所」




「いやぁ…今日はまだ静かです。呼び出しが今のところないので落ち着いてるみたいですよ」



「そうか」



「ところで蒼先生どうしたんですか?」




「…あ、高島明日の外来に季蛍入れられる?」




「ん?ちょっと待って下さいね」



「悪い」



「…大丈夫ですけど…季蛍何かありました?今日は医局でも見かけましたけど」




「んー……何かイヤな咳してんだよね。怠そうにしてるんだけど熱はなくて」




「そうだったんですか?僕気づかなかったです今日」




「うん…咳止め飲んでたみたいで。このまま悪化しないで治まってくれたら言うことないんだけど、俺とは顔も合わせないから」




「そうですか。わかりました、明日ちゃんと話きいておきます」



「うん、ごめん。高島も体調回復したばっかりなのにな」



「ちょ、そんな前の話」




「んふふ、でも回復してよかった」



「まぁ…そうなんですけど」




「…じゃあそういう訳だから明日よろしくね。詳しくは本人に聞いて」


「はーい」