───「おいでよ。さーくーらちゃん」



「ん。ゃ」



母親の後ろに隠れてしまった桜ちゃんの様子を伺うように、看護師が近づくんだけど。



「やあ!」



お母さんの服を懸命に引っ張って看護師を完全に避けようとする。



そんなやり取りを見ていた俺が一歩近づけば、もっとお母さんの服を引っ張って後ろにすっぽり隠れてしまった。



…これじゃ顔すら見えないな



「桜ちゃんおいで、先生が桜ちゃんの痛いところ全部治してくれるよ」


看護師の言葉にも反応せず、顔をすっぽりお母さんの背中にうずめてしまった桜ちゃん。



お母さんは思わずため息。




「桜、いい加減出てきて先生に診てもらうんでしょ?おうちで約束したじゃない」



「…ッグスン…やだぁッ…グス」



「おいで!桜ちゃん!先生何にもしないから」



「………」



「ね?白衣着てるだけ。おいで、先生とお話しよ」



「……」



「痛いことも桜ちゃんがイヤなことも何にもしないから」



「………」