──「ほい」
「うわ」
投げられたコーヒーの缶をギリギリで受け取って顔を上げると、伸びをする蒼がいた。
「今日も1日忙しくなりそーだ」
今日は雲一つない晴天で、屋上には清々しい風が吹いている。
「今日当直ー?」
伸びを続ける蒼に聞けば『うん』と返事が返ってきた。
「陽さん…どう?」
「…心配してくれてんの?」
「当然」
「…陽のことぐらい忘れろよ~蒼ただでさえ患者さん多いんだから」
「ぐらい…って。季蛍からもいろいろ話聞いたからさ…」
「…ああ。でも大丈夫、今日俺の外来に陽を入れてるから」
「あ、そうなんだ」
「あの機嫌じゃあ山瀬の診察は受けてくんないだろうし…ってその前に山瀬は出張だし」
「出張多いね、忙し」
「ほんと。…病院の薬の方が効き目早いからとっとと飲ませて治さないと俺が安心しないわ」
「結くんの面倒は平気なの?」
「平気。…今は預けっぱなしだけど」