季蛍さんの電話を切った後、パソコンへの手は動かしながら陽への発信ボタンを押した。



「……もしもーし」


「…港?」


「陽?久しぶり。今大丈夫?」



「…うん」



「乳腺炎、なったんだって?」



「…」



「なったんだって?」



「…ごめん」



「謝るってことは悪いと思ってたんだな」



「だって……。そんなこと恥ずかしくて言えないし」



「んふふ。…もう大丈夫ならいいんだけど」



「…でも今朝から吐き気止まんない」



「あ、季蛍さんからも聞いたけど…どうした?風邪でも引いてんの?」



「…そんなのわかんないよ」



「わかんないよ……って。泣きそうな声するなよ」



「だって…港のお母さんがお粥作ってくれて…昨日からずっと寝込んでて…もう迷惑かけちゃってて」



「陽…それは気にしなくていいよ。寝込んでるときぐらい頼れ」



「……」



「熱は?」



「………」



「言わないとわかんない」



「…8度2分」



「薬は?」



「…なんも食べれない」



「とりあえず母さんの言うこと聞いて寝てな。今も何で起きてたの?」



「気分悪いから…」




「俺もしばらく帰れないから。…ね?」



「大丈夫……私のことは心配しないで」



………プツ



…切ったし