リビングに来た愛優は、髪からポタポタ水滴が垂れていて。



「風邪悪化するってば…」



「だって髪拭けないんだもん!」



指を差し出してくる愛優をソファに座らせて、傷口をそっと消毒。



「も、フラフラするし」



ため息をつく愛優の顔を見上げれば、確かに青白い顔。



「…貧血かな?血足りないのかな」



「切ったっていっても指だから…ね。血見てち血の気が引いちゃったんじゃないの?

愛優そういうの苦手だもんね」



絆創膏を貼ってもう一度見上げれば、目を閉じていた。



「…貧血…かもね平気?」



「…平気」



「そう。ならいいんだけど」



「季蛍と同じ。血見たら脈拍上がんの」



口を挟んできた蒼は、愛優に水を差し出す。



「あ……ありがと」



「私別に大丈夫だし!患者さんの処置だってしてるんだからね!」



反論しても蒼は知らん顔で笑う。



完全に馬鹿にしてる…!!