「っていうか…どうして家に点滴あるの?」
「何かあったときのために」
「…何それ」
不満そうな季蛍は、されるがままの腕を見つめて嫌そうに言った。
「……ここ、刺すよ」
指でツンツンすると、また嫌そうに顔を歪めて。
「……よく考えたらおかしくない?肌に針が刺さるんだよ!?」
「…いや…まぁ……ねぇ」
腕に軽く触れるだけで、ビクンと、体を反応させるから、刺そうにも刺せなくて。
「…動くなよ、刺すとこ間違えるから」
「……ごめん、でも…点滴久しぶりだから」
「……。
……刺した。点滴が終わるまでは寝てて」
「もう寝飽きた」
「いいから…。ったく…風邪は寝るのが一番なんだから」