久しぶりに家に帰ると連絡すれば、
『ひゃっほー』的な声が電話越しに聞こえた。


ここしばらく病院泊まりで、家に連絡も帰宅もできていなかったから。



『おいしいご飯作って待ってるね』


という凜の言葉に返事する暇もなく、ぷつりと電話を切られてしまった。



「美味しいご飯…ね」



頑張って作る凜の姿を想像して、嬉しくなって…顔が自然ににやけてしまう。


「…何?何で笑ってるんですか、芙羽くん!」



仕事をしていた季蛍さんが俺の顔を見て意味深な表情をする。


「え」



「…なんかすごく嬉しそ~な顔」



「うん、嬉しい。凜がご飯作って待っててくれるって言うから」



「あ~それで。芙羽くん蒼に『愛しすぎ』とか言ってますけど…それなりに芙羽くんも凜のこと愛しすぎですよね」



笑う季蛍さんに『まぁね』と返事して、俺も笑った。



「…季蛍さん泊まり?」



「はい、今日は当直なので」




「そっか。じゃあお先失礼するね」



「はい、お疲れさまです」