簡単に手当てをしていると、白衣を脱いだ蒼が診察室の扉をあけた。




「じゃあ悪いけどお先に。陽さんお大事に」


「あ、ありがとー。季蛍さんにもよろしく」




蒼が出て行ってから少しすると…陽は頬にぽろりと涙を一粒零して。



何かがプツリと切れたように泣き出した。



あんまりにも急にで…俺も言葉をかけてあげられなかったんだけど。


「陽にいっぱい我慢させてる?…俺」


手当てが終わって頭を撫でてあげるんだけど、
これまで強かった陽とは全く別に…ぽろぽろ涙がこぼれてくる。



「…なんにも言わないからわかんない」