「じゃあ…後は港くんに任せますね」



そういって季蛍さんは部屋を出て行った。



「季蛍さんがいてくれればとりあえず安心だわ、俺」



さっき季蛍さんが座っていた椅子に座って、陽の顔を覗き込めば、背けられてしまった。



「暴れたの?…おでこ痛いでしょ?」



以前作った額の傷がまた開いて、また暴れたんだか…血が滲んでいて。



「女の子は顔に傷作ったら大変でしょ?もっと敏感になりな」


若干キレる俺にも、陽はそっぽを向いて聞かない。



「…手当てしてやるから」


ぽんと頭に手を置いて立ち上がると、


「港は陽さんの所にいてあげたら?」


と蒼の声。



「…え」


「俺持ってくるから。…ね」



そういって診察室の奥に消えていく蒼の背中に、『ありがとう』と声をかけた。