───診察室へ向かいながら、蒼は脱いでいた白衣を羽織り直した。



「にしても陽さんも大変だね。季蛍がちょっとでも頼りになればいいんだけど」



「うん…俺もまだ陽に会ってなくて。俺もちょっと手離せなかったから季蛍さんに行ってもらったんだけど…多分大したことないと思うけど」



「…でも数日間発熱してたりしてたんでしょ?
俺もちょっと心配してたよ」



「蒼はほんとに人の家のことも気にするんだな!ただでさえ忙しいんだから俺んちのことくらい忘れちゃえよ」



笑いつつもそういうと、蒼は『いや…だって』とその先がない顔をして笑う。