「じゃあ季蛍ちょっと待ってて。吸入とってくるから。じゃあ蒼先生少し待っててもらっていいですか?」
「あぁ…悪い」
「いえ、大丈夫です。季蛍も帰る支度しといて」
頷く季蛍を見てから部屋を出て行く高島。
「……俺も準備しよ。季蛍も落ち着いたら白衣脱いじゃいな」
首を縦に振る季蛍は、何だか不満そうに俺を見つめる。
『もう外して…』
微かな季蛍の声が聞こえて、少しため息をついて季蛍の頭を撫でてやる。
「…さっき高島にこれないと過呼吸みたいになっちゃうって言われたばかりだろ」
「…そんなことない」
「よくわかんないな、季蛍」
ゆっくり体を起こした季蛍の酸素マスクを外してやれば…辛そうに咳を繰り返して。
「……ん、大丈夫」
「吸入してから帰るって言うから俺荷物とってきちゃう。待ってて」
「…うん」