「胸の音聞いたら俺医局から吸入持ってきます。このまま吸入してから帰らせるんで」




「高島……悪いな。友那さん大丈夫?」




「えっ蒼先生そんな心配してるんですか?…僕のことはいいですよ~。今日は元々行かない予定なので……。夜連絡だけします」




「あぁ…そう」




「季蛍もお昼無理しなきゃこうはならなかったのにね」




笑いながら季蛍の服のボタンをどんどん開けていく高島の手を握って、季蛍は首をブンブン振る。



「少しだから聞かせて」





「……ん」




やだ、とでも言ってるのか…高島の白衣の袖を握って離さない。





「薬がいるか判断しないといけないでしょ」





「……」




しぶしぶ手を離した季蛍の手を軽くどけて、高島はそっと聴診器を胸に当てる。











「……季蛍酸素マスクに頼りすぎ。自分の心臓で呼吸しなさい」



聴診器を離してボタンを留める高島は、季蛍にそう言うけど…季蛍は


「…してる」



の小さい声。




「息止めてたじゃんー!」




「……」




「…んはは、お見通しされてる」



そういって笑えば季蛍の目線が俺を捉える。



「…帰りたい」



俺の顔見てそれかよ……