──そうこうして陽がお風呂へ行った後、父さんがリビングの片づけをしていたら、母さんが扉を開けるのが聞こえた。
「…あぁ、ごめんなさいね。片づけ」
「母さん…」
「お父さん会社の電話があったわよ。折り返し電話がほしいって」
「あぁ…」
父さんがリビングを出て行くと、母さんは椅子に座って溜息をついた。
「…陽ちゃんは?」
「お風呂」
「あぁ…そう。陽ちゃんが夕飯作ってくれたのよね。悪いことしちゃった…」
「…陽はそんなこと思ってないよ」
「………」
「……それより母さん、何で今日うちの病院行ったの?体調でも崩した?」
「…誰から聞いたの?」
「父さん…」
「…違うの。気にしないで」
「気にしないで……って」
「ただの風邪だったのよ…。大したことないのに皆に言う必要ないじゃない」
「……」
「熱が下がらなかったから病院に行っただけ。薬ももらってきてるから平気よ」
「…そう。ならいいんだけど」
「港が心配することじゃないでしょ」
「……するよ」