───トントン



「入るよー?」




「…あ。蒼先生来てくれたんですか」





「いや、外来あるのにずっと季蛍預けててもなぁ」




「別にいいですよ~蒼先生も外来ありますよね」




「……ぃい、私も…う行くから」




そういって体を起こそうとする季蛍に、


『季蛍』


と強めの声が飛ぶ。




「吸入してすぐ医局には戻らせらんないよ」



「……あれ、吸入したんだ?」




「しました…あの後落ち着かなくて」




「…走ったから。急いできたから」



そういう季蛍は起きあがって大丈夫です、とベッドを降りようとする。



「…もう高島先生に迷惑かけません」



そういって診察室をそそくさと出て行く季蛍を見て、高島は溜息。



「…心音もとらせてくんなかったです」




「はぁ…?喘息出てるっていうのに…」