──「高島先…」
横を振り向くと高島先生の姿がない。
「……あれ?」
後ろを振り返ってみると、ソファに横になって眠る高島先生が。
「…いつの間に」
ちょうどその時足音が近づいてきて、医局の中に蒼が入ってきた。
「…はぁ~…お疲れさん」
蒼の手にあったファイルで頭をポンと叩かれて、思わず睨む。
「…お疲れ」
「顔怖い」
「…叩いたじゃん」
「あれっ…?高島…え、何?死んでる」
ファイルを広げてペンを走らせてすぐ、蒼はソファに体を沈める高島先生に気づいたようだ。
「…完全に眠ってんな」
蒼は高島先生の椅子に掛かっていた白衣を体にかけてあげると、
『疲れてんだね』
と笑った。
「…さっきまで仕事してたのに。いつの間に寝ちゃって」
「そういえば今日…高島何か変だったよ」
「……何が?」
「救急に呼び出しあったみたいでさぁ…まぁ俺もいたんだけど。高島なんか頭振って溜息ついたり…汗すごかったり。
走ってきたのかなーって思ったけど息切れてなかったし。謎」
ファイルを閉じて、私と高島を交互に見つめる蒼。
「……何かコーヒー飲む?」
そう聞けば
「あ。うん」
と返事が返ってきた。