着替えを済ませて誰かに見つからないうちに薬も飲み込んだ。
これで落ち着いてくれるといいんだけど。
医局に戻ると季蛍しかいなくて、辺りを見回しても見あたらなかった。
「…皆は?」
「帰りましたよ~」
「そう……季蛍は?」
「私今日残ろうかなって。溜まってるんです、風邪引いてたから」
「そっか」
「…違和感ないですね」
俺のワイシャツを見て笑った季蛍に、俺も微笑みを返す。
「…何か悪いね、蒼先生の借りちゃうなんて」
「いいんですよ……蒼先生着替えないし」
「季蛍も風邪治って良かったじゃん」
「…おかげさまです」
椅子に座ってはぁ…と溜息をつくと、机の上に薬の箱を出しっぱなしなのに気づいた。
慌てて箱を椅子に掛かっていた白衣のポケットにつっこんで、パソコンを広げる。
「…蒼遅いですね、いつまで引っ張りだこされてるんだか」
「忙しそうに走り回ってるよね」
「…港くんにまで呼ばれちゃってましたよ」
「………」
「………」
パソコンを見つめてカルテを開くんだけど、やっぱり頭の重さ…ダルさが抜けなかった。