──「山瀬」




俺の言葉にびっくりとした顔で振り向く山瀬。




「…何びっくりしてんだよ」





「あ、……すみません…まさかいるとは思わなくて」




「陽がお前のこと怖いってよ、陽に何かした?」




笑って聞いてみると顔が曇って。


「…あぁ」




「…え?本当に何かしたの?」





「いやいや!……大したことじゃないです。港先生顔怖いです。僕がそんなことする奴に見えます?」



「んー……まぁ……見えなくはないよな…」




「ちょ、港先生」



「ごめん、嘘」




「…前回会ったときに苦しい思いさせたからです。多分」




患者さん用の椅子に腰掛けて白衣を羽織る。



「……苦しい思い?」




「ちょうど受診する前に喘息の発作起こして…それがしばらく治まらなかったんですよね。


吸入させても落ち着かなくて…点滴入れても効くまでしばらく時間がかかって。



かなり長い時間苦しい思いさせて…俺そん時怒っちゃったからですかねー……」




「…最低」



「悪気ないですよ!?」




「…陽可哀想~」




「まぁ…そうですよね……怖いって思われてるんですね俺。気をつけよ」




「陽は実験台か」



「あ……はは、違います。港先生少しは僕のこと信用してください…!」




「してるよ」




「してないですよ~」