「何年前のだろうね。肌身離さず持ってるんだ」





「…へぇ……すごい……。



……って何気に季蛍先生も蒼先生のこと、愛してますよね!」






「……い、いいの…!」





……余計なことを。





「…でも何でワイシャツの?ブレザーのボタンなかったんですか?」




「……蒼ね、すっごく女の子にモテてたの。卒業式の前の日にボタン予約する子がいるくらい。



……笑っちゃう話だけど、卒業式が終わって帰るってなったとき、蒼のボタン一個もなくて」






「…い、一個も!?」





「ブレザーもワイシャツも…全部のボタンなかった。……帰るときどうやって帰ったんだろう?」





そんなことを思い出して、新たな疑問を見つけた。





「…季蛍先生、そのとき彼女さんだったんですよね?それなのにワイシャツのボタンなんですか?」





「…ううん。家にブレザーの第二ボタンがある」





「…やっぱり一番最初に貰ったんですか?」






「ううん。……一番最後。一応後輩だったし、近づけるような距離でもなかったし…」






「……」






「………でも蒼、ボタン私の為に取っておいてくれて。」




「……蒼先生、やっぱり見た目も中身もステキな人なんですね」