「…あ!!」


結が声を上げた先には、不思議そうに私たちを眺める港がいて。



「あれ?いつ帰ったのよ」




「今ちょうど入ってきたところだけど…」





「おかえ…り」





「陽ただいま。…ソファで横になんかなって…どうかした?」



軽く微笑みを向けた港は、結に目線を移してもう一度私に移した。



「…何?なんか母さん怖い顔してるし」




荷物を置いて上着を脱いだ港は、ソファの側に腰を下ろす。



港を見たら我慢していたものが全部…溢れ出てくるような気がした。




「…陽ぅ~どーした…」




すかさず港の抱きしめが待っていて、港の胸に抱かれるとやっぱり……安心する。



「寂しい思いしてた?したよな?ごめんね」





……そうじゃないよ。



それすら言えず涙が溢れ出てくる。



……大袈裟に聞こえるかもしれないけど、ここ最近会ってなかったから。



「陽ちゃん体調優れないみたいよ?港の帰り待ってたんだから」




首を傾げた港は、『どうした?』と笑って目を見つめてくる。



「………」



その目は真剣で、パパの時の港じゃなく…白衣姿の港の時の目。


……切り替え早いんだから。