「入って、季蛍」
パソコンから目をドアの方へ移すと、白衣のままの季蛍が突っ立っていた。
「…主治医の言うこと聞かないからだよ」
「聞いてましたよ!!」
「…はいはい。座って」
「…私これからいろいろやらなきゃいけないことがあるんですけど」
「薬出して心音聞いたら終わりにするから。すぐすぐ」
「……」
「…あ、でも昨日薬処方されてる。蒼先生が出したんだ。何にも聞いてなかったけど」
「…昨日夜蒼に点滴入れて貰って…その時薬も出してもらいました」
「あ、そう。そんなに酷かったの?咳」
そう言いつつ白衣の前を軽く手でどけて、服に隙間を作る。
「…酷かったって言うか…苦しかったです」
「…そう」