片手にマフィンの紙袋を持つ季蛍は、陽さんたちと別れると下を向いて黙りこくった。




「…無理したんだろ、今日1日」




「…そんなことないよ、だって今日楽しかったし」





「顔色最悪」




「・・・」




「言い返す言葉もない…?
…ったくどうすんの、また仕事休むことになったら」




「そんなことない、そんな無責任なことしないから大丈夫」




「見てみ、顔色」



近くのガラスに映る自分の顔色を見て


「…大丈夫じゃん」



と言う季蛍だけど、俯いて俺の後方を歩いてばっか。




「…今朝熱なかっただろ?今はどーなの?顔から湯気出そうだけど」



「湯気なんて出ない!熱なんて…あるわけないでしょ」



「…季蛍のこと顔見て分かる人が近くにいるのにそうやって意地張って~」




「……。ごめん」