意識を変えると咳込みが止まらなくなりそうで、水を流し込んで必死に落ち着かせていた。
……んだけど
水だけでは抑えられなかった波が来て、胸苦しくなってきて。
息がまともに吸えなくて、また何度か口に水を流し込む。
「……ッ」
「愛優ちゃーん…愛優ちゃんいるー?」
見慣れた看護士さんがバインダーを持って待合室を見渡していて、立とうとしても立てない私。
「…あれっ、愛優ちゃん」
気づいてくれた看護士さんが近くに寄ると、周りに配慮してか隣に体を寄せて
「今苦しい?」
と聞いてくれた。
「は、……はい」
「歩けそう……にないから、今先生呼んでくるね。頑張って、少し」
背中を数回さすってくれた看護士さんは、バインダーなどの手荷物を置くと、診察室へと行ってしまった。