──ピンポーン
「……誰か来た。ちょっと待ってて」
寝室を出て玄関のドアをそっと開けると、……。
「……あれ?」
「あのー……すみません、押し掛けちゃって」
「季蛍さん…どうしたの?」
「…これ。あの……凜、食欲ないって聞いたから」
紙袋を差し出されて、首を傾げる。
「…仕事帰りにケーキ屋さん寄ってきたんです。これなら食べられるかなって思って」
「…えぇ、ありがとう。とりあえず上がって」
「あ、いや…そんなつもりは」
「ううん、いいの。今凜全く俺のこと相手にしてくれてないから」
「……じゃあ…少しだけ」