「──ふー」




意識があるのかないのか…の境目で、私の耳には何かが微かに聞こえる。





「愛香、……愛香」




右肩をトントン叩かれて、ゆっくり目を開けると、隣の奏太が肩を叩いていた。




「今仕事終わった。…薬は?」




首を振ることもできなくて目を閉じると、『飲んでないのね』と返されて。



奏太の手が額に触れて、冷たくて気持ちよくて…開けかけた目をまた目を閉じる。




「薬持ってきてあげるから手離して…」



え?と思って手元を見ると、奏太の服をギュッと握っていて。



「あ…ごめん」