「───はーい、お願いね。じゃあ」
「病院戻るの?」
お玉を持った母さんはキッチンから振り向く。
「ううん。連絡事項」
「患者さん大変なの?」
「いやー…患者さん…っていうか…うん、まぁ同僚っていうか」
「…ふうん」
「…そういえば陽は?」
「あ!そうそう、陽ちゃん今眠ってると思うんだけど…昼大変だったのよ。
結くんにご飯食べさせてた陽ちゃん急に食べさせるのやめちゃって…鞄漁ってたんだけど薬がなかったらしくて。
あたし救急車呼ぶか聞いたんだけど、トイレこもってしばらく落ち着かせてたみたいで。
どうしたのかしら…?」
心配そうな母さんは、結を見つめてから俺に目を移す。
「発作?……薬持ってないはずはないんだけど」
結の隣に座って頭を撫でる。
「…病院に連絡しようともしたんだけど、陽ちゃん眠っちゃったから」
「そう、悪い…迷惑かけて」
「大丈夫よ。陽ちゃんは私の娘みたいなものだもの」
「……勝手に娘にすんなよ」
「あは、そうね」