「どーぞ」
──ガラガラ…
「おはよう、季蛍さん」
「…おはようございます」
少し苦笑い気味の季蛍さんは、診察室に入ると
「今朝…蒼戻してて。今もトイレに」
「そうなんだ…随分と悪化してるんだ。
先に季蛍さん、ここ座って?」
「…え、あたしもですか?」
「いや……昨日高島から聞いたよ。手のプツプツ」
「あっ……あ!大丈夫です」
「…んふふ、季蛍さん俺から逃げなくても」
「で…でも!」
「いや、見るだけ。高島に言われちゃってるから」
「……あー…」
「猫のアレルギーだとか高島が言ってたからさぁ…気になって。でも高島出張だし」
「……猫なんてさわってないんですけどね」
苦笑いの季蛍さんが両手を差し出す。