「こっちこっち!」
上野先生が手招きをする。
「港くん…すみません、もう帰らなきゃいけないのに」
「あー、大丈夫だよ。陽は実家にいるから急ぐ必要ないんだ」
「…そうなんですね」
「蒼、まだ眠ってると思うけど。なんか蒼さぁ…いろいろと体壊してんだよね」
「…そうなんですか?」
「季蛍さん知らなかったんだ。……てっきり蒼言ってるのかと思ってたけど。
熱は微熱だし、大したことないんだけど。体がしんどいみたいで」
上野先生は俺と季蛍を診察室に入れると、少し開いていたベッドのカーテンをきっちり閉めた。
「…頑張りすぎてるんだよなぁ、蒼も」
「蒼先生…今朝すごかったんですよ、顔色」
「うん…だろうね。トイレから出てきた蒼とばったり会ったんだけど、顔に『辛い』って書いてあったから」
「……そうなんですか」


