「あ」
港が声を上げたので、顔を少しあげたら。
「陽さん、こんにちは。大丈夫?」
「蒼くん…」
「俺が話聞いて…その後隣の部屋に移ってくれる?診察はそっちの部屋で季蛍がするから」
「あ……はい」
「偶然?」
港が安心した顔で聞く。
「偶然…かな?俺は特に何も」
「そうなんだ…よかった。陽も蒼なら話しやすいって言ってたから」
「あ、そーなの」
笑う蒼くんを見て、なぜか手の震えが止まる。
「話って言ってもそんなに堅いことじゃないから緊張しないで」
私のガチガチな様子がわかったのか、蒼くんは言う。
「リラックスして答えてくれればいいから」
頷くと、蒼くんも頷いて笑った。