たった一つ投げられていなかったものは、果織ちゃんの両手に抱えられたぬいぐるみだけ。 「ちょっと興奮しちゃったんだね。…何かイヤなことがあったって聞いてるんだ。教えてくれる?」 「……」 「すごーく…辛いこと。教えてほしいな」 「……」 「先生も…看護師さんも。…お母さんだって…ここにいる皆果織ちゃんの味方なんだから」 そういって果織ちゃんの髪をかき分ける。 奏太も顔を上げて、果織ちゃんに微笑んでいた。 「…ね?」