「果織ちゃん、少し落ち着こうね?」
看護師は果織ちゃんのベッドに寄って、興奮して肩を上げ下げする果織ちゃんの背中をさすった。
音を聞いてなのか、病室のドアの隙間には通りすがりだと思われる奏太の顔。
「…大丈夫?隣の病室まで聞こえてたけど」
ドアを開けて中に入ってきた奏太は、床をじーっと眺めて。
「…ガラスって透明だからわからないね。早く片づけてもらわなくちゃ。
俺はお母さんの手当するから。蒼は果織ちゃんのとこ」
ふと佇む母親の手元に視線を落とすと、ざっくりと傷ができていた。
ポタポタと血が垂れてきている。
「…よろしく」


