看護師はまたゆっくりと廊下を前に進む。
「…果織ちゃんのお友達昨日来たんです」
「あぁ、聞いてる。病室少し騒がしかったし」
「…そのお友達が帰った後、またお友達が2、3人来たんです。……そのお友達に何か言われたみたいで」
「果織ちゃんが?」
「はい。………何か、こう…傷つくようなことを」
「…そっか」
「それから果織ちゃん…夜もご飯に手をつけないでずっと布団に潜ってて」
「…どんなこと言われたのかな」
「少しだけ朝お話したんですけど…どうやら仮病で入院してる…学校をサボってるって…言われたみたいなんです。
もっと他にもあると思うんですけど…そのことが胸に引っかかるみたいで」
「…そっか」
考えながら歩いていたら、危うく曲がり角でぶつかりそうになって。
「あ、すみません」
「…おー。蒼」
「…なんだ港かよ」
「俺ならぶつかってもよかった…みたいな顔すんなよ」
笑いながら手を振って去っていく港。