はぁ…と大きく息を吐いて、落ち着かない心臓が落ちつくのを待った。
「脈…飛んでる」
体調を崩した、と認めたくないから、自ら薬を飲むこともしなかった。
……けれど。
「おーい、季蛍仕事終わってる?」
聞き慣れた高島先生の声に、はっと体を起こした。
ガラガラ…と診察室のドアが開いて。
「あ、よかった。まだいた」
「高島先生…仕事終わったんですか?」
「今ちょーど終わってね~」
診察室に入ってきた高島先生は、患者さん用の丸い椅子に座った。
「いや、なんかね?……今朝気分悪そうだったなぁって思って」
「……あんなに話聞いてなさそうだったのに」
「聞いてますー。…毎朝季蛍の顔見てから仕事行ってるもん俺」
若干どや顔を向けられて、苦笑いで返す。
「一昨日は絶好調の顔色。昨日もまぁまぁ良かった。でも今日は少し青かったね」
何年もお世話になってきたその手で、頭にポンと手を置かれた。
「最近体調良かったんだけどな」
自分ごとのように言うと、高島先生は何度か頭をポンポン叩いて。


