「俺も今薬ないよ。何で薬持ってないの…」
「…鞄の…中…」
「……季蛍。薬はポケットって蒼先生も言ってるでしょ」
しゅんと肩を落として俯く季蛍に、ため息が漏れた。
「…医局まで薬取りに行ってくるから。それまで待ってて」
そう言って立とうと思ったら。
俺の白衣を両手で掴んじゃって。
「……行かないで…ください…」
まだ短い呼吸を辛そうに続ける季蛍は、絞り出した声で言った。
「…だって薬ないじゃん」
「…大丈夫…です」
「……季蛍…手熱い」
それに加えて季蛍の短い呼吸は、少しヒューヒューしてるような気もして。
…かなり不安になった。


