君が居た頃。


手元を狂わせたのか、
空を切ったナイフは
湊魅の親指に小さな傷を残して、
床に落ちた。

「ごめん、季織!」

「気にしないで………それより指大丈夫?」

「大丈夫大丈夫」

慌ててナイフを拾おうとしたけれど、
うまく掴むことが出来ていなかった。



「本当……………なにやってんだろ…」



力のないその声に、
思わず泣きそうになる。