幼馴染み~初恋物語~

体育座りで泣いている櫻を見つめていた和樹は、怒りが込み上げてきた。

ゴリの奴…………

わざと櫻ちゃんの足を引っ掻けた…………

これで負けるなんて嫌だ。

でもまだ凄い差が開いてる…………

一気に抜いたらカッコいいんだけどなぁ………


リレーはいよいよ終盤。

和樹、清山、修のいるアンカーに回ってきた。

清山のいるチームが1位。

修のチームが少し離れて2位。

もう1つの2組のチームがすぐ後ろにいて3位。

そこから50メートルくらい離れた最下位が和樹のチーム。

「俺達の勝ちだな?」

「絶対に負けないって…………」

和樹の言葉はもう負け惜しみでしかない。

それでもまだ負けた訳じゃない。

負けると思った時が負ける時。

可能性がある限り信じよう。

そう思っていた和樹が自分に言い聞かせる言葉だった。

そんなやり取りをしていた和樹の前に、走ってきた芦田が清山にバトンを渡す時、バトンを渡し損ねた。

小学生のリレーは何が起こるかわからない。

練習をしてきた和樹達と、練習で勝ってきた為に、余裕を持っていた清山達の差が出たのだ。

「バカッ!!芦田っ!!ちゃんと渡せよっ!!」

転がっていくバトンを追いかけている清山を見て、和樹は今のランナーに向かって、大声で叫んだ。

「早くーっ!!頑張ってっ!!」